個人民事再生は個人が使う場合、個人再生と呼ばれることも多いですが、この債務整理の最大のメリットは借金の返済額を大幅に減額することができるところです。
最大で借金を10分の1まで減らすことができるので、自己破産はしたくないという場合にはうってつけの方法です。
また、住宅ローン以外の借金だけを減額することで、家やマンションを残したまま借金を大幅に減額することもできるという特徴があります。
こういったメリットがあるのですが、デメリットとして手続きが非常に大変で素人がやるのはほぼ無理です。
そのため弁護士に依頼をするのが一般的です。
ただいきなり弁護士には相談しにくいものなので、とりあえずあなたの借金が債務整理でいくらに減るのか調べてみることをおすすめします。
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ここからは個人再生の基本的な知識を紹介していきます。
目次
- 1.個人民事再生の手続きの流れについて
- 2.個人民事再生の条件は?不認可事由は?
- 3.個人民事再生の最低弁済額について
- 4.個人民事再生すると信用情報が傷つきブラックリストに載る?
- 5.個人民事再生をした場合、官報に載るタイミングや期間について
- 6.個人民事再生をすると保証人にどんな迷惑がかかる?
- 7.個人民事再生の直前に借り入れるのはあり?
- 8.個人民事再生中の貯金はどうなる?預金相殺が行われる?
- 9.個人民事再生する時、再生計画案や再生計画の方法は?
- 10.個人民事再生には安定収入が必要不可欠?転職はできない?
- 11.うつ病でも個人再生をすることはできる?
- 12.個人民事再生中に自己破産をすることは可能か?
- 13.個人民事再生は弁護士に依頼をしたほうがいい?
1.個人民事再生の手続きの流れについて
個人民事再生の手続きとしては、次のようになります。
個人民事再生で一番大切なことは、返済計画の重要性にあります。
裁判所が認めた上の返済は、必ず完了するまで怠ることはできません。
途中でそのような事態が起こると振り出しに戻ることになります。
弁護士と十分な返済計画をしてから、個人再生の手続きを進めてください。
○必要書類
- 住民票
- 戸籍謄本(必ず謄本を取ってください)
- 退職金見込額の証明書:勤務先より発行をしてください
- 給与明細書(直近3カ月分)
- 源泉徴収票・課税証明書
- 不動産登記簿謄本(不動産を所有している場合)
- 車検証・保険証書
- 解約返金証明書(解約した時にどれだけ戻ってくるのか、保険会社へ請求します)
- 賃貸契約書(賃貸物件に住んでいる人)
- 受給証明書(年金受給者)
- 通帳(銀行・郵便局などすべてのもの)
- 借金の件数とその金額がわかる明細書
- 住宅ローンがある場合は、その契約書
を弁護士に提示して個人再生に必要な状態であるかを確認してもらいます。
そこから、個人民事再生の手続きに入りますが、手続きの流れは以下のようになります。
受任を通知・債権の調査に入ります。
↓
各書類の準備して個人再生の申し立てを地方裁判所へ提出。
↓
返済の計画表・家計の収支表の作成に入ります。
↓
積み立てを3ヶ月ほどします。
↓
再生計画案の提出。
↓
再生計画案が認可決定されたことにより支払い開始。
となりますが、最終認可が出るまでの間、6ヶ月の期間がかかります。
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2.個人民事再生の条件は?不認可事由は?
【個人民事再生にも条件があります】
- 支払い不能の恐れがあること
- 個人であること
- 債務者に対して継続的に収入につながる見込みがあること
- 再生計画案に最低の弁済基準を下回っていること
- 借金総額が、5000万円以下であり収入が安定していること
- 3~5年以内の期間で支払いが完了できること
- 不同意の再生計画の再生債権者の数が総再生債権者の半数以上であること
- 不同意の債権者の債権額の合計が、総再生債権額の過半数であること
など条件がありますが、重要なことはこの個人民事再生をすることで、反対する債権者がいるのかどうか把握する必要があります。
債権者の半数を超えて不同意があると、不認可になり個人民事再生はできなくなります。
住宅ローン以外の借金の総額が金額により設定してありますので、返済が楽になることは間違いないでしょう。
住宅ローンなどを組んでいる場合、自己破産をしてしまうと自宅も手放すことになります。
個人民事再生では、住宅ローンはそのまま支払い続けることで、他の借金を全て圧縮して支払う方法がとれますので、家に住み続けることができる債務整理方法と言えます。
【過去に自己破産をした人と給与再生をした人は制約があります】
過去に自己破産をした人は、免責決定後から7年は再度免責が受けられませんが、個人民事再生の場合は、免責決定後7年を過ぎていなくても、手続きを取ることができます。
給与再生では、免責決定後7年が過ぎなければ手続きをすることができません。
このように個人民事再生でも給与再生になると制約が多いので、給与再生による債務整理をする人はほとんどいないのが現状のようです。
☆給与所得者個人再生手続き
給与所得者の個人再生は、「毎月の給与が一定であることを見込めたうえにその額に変動がほとんどないこと」が条件になります。
- サラリーマン
- アルバイト(収入が安定していることが条件)
- 自営業者
- 農業・漁業従事者
- 年金受給者(重機遊学が低い場合は不可)
になります。
○給与所得者の再生手続よりも個人民事再生(小規模個人再生)手続きが良い?
☆給与所得者再生のメリット
債権者の同意に関係なく要件が満たせば再生計画が認められます。
メリットは、小規模個人再生と全く逆の性質を持っています。
しかし、それだけで後はデメリットばかりなのです。
☆個人民事再生のメリット
小規模個人再生は、返済額が5分の1から10分の1まで圧縮されます。
給与所得者再生は、可処分所得が2年分だけになりますので、必ず小規模個人再生よりも高額になることは間違いないのです。
可処分所得:所得で自由に処分できる「手取り収入」を指します。(税金・社会保険は除く)
このことから、給与所得者等の再生手続きを行なわない方が有利に進めることができるので、弁護士もこちらの方を勧めることが多く、ほとんど利用されていないのが現状になります。
個人民事再生での申請は以下の場合は、不認可になります。
- 専業主婦
- 生活保護受給者
- 失業保険受給者
は、収入がないとみなされているので、いずれも不可になります。
○民事再生共通の認められない不認可事由とは
- 再生計画案に大きな法律違反がある時に、それが修正出来ない時
- 再生計画に見込めるものがない時
- 再生計画を不正な方法で決議を取り成立させた時
- 再生計画案が債権者の利益に反する決議になった時
その事案事態に最も重大な法律違反で、それを修正できない時に限られるものです。
☆小規模個人再生手続き
個人・商店主・個人事業主など小規模事業を運営している人を対象にしています。
- 現在の支払額がこのまま進んでいくと、支払いに困窮する恐れがあるかどうか
- 借金の総額が5000万円以下であること
- 圧縮した借金を3~5年以内で返済ができる事
- 安定した収入があること
が条件になります。
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3.個人民事再生の最低弁済額について
個人民事再生の最低弁済額は100万円になります。
100万円未満の弁済額は、全て全額返済になりますが、それ以上の場合は、下記のようになります。
100万円未満 | 全額 |
100万円以上500万円未満の場合 | 100万円 |
500万円以上1500万円未満の場合 | 債務金額の5分の1 |
1500万円以上3000万円未満の場合 | 300万円 |
3000万円以上5000万円以下の場合 | 債務金額の10分の1 |
清算価値保証=「現在の財産の価値のあるものは支払いに充てなければならない」としています。
これは、各裁判所により生産価値の基準が違いますので、弁護士に相談の際お聞きください。
○生産価値の算定
- 手持ちの現金が99万円までである場合
- 預金・貯金残高が20万円以下である場合
- 生命保険解約返戻金の見込み額が20万円以下である場合
- 自動車の査定価値が20万円以下である場合
- 賃借などの物件にあたる敷金
- 退職金の支給見込み額が8分の1で20万円以下の場合
- 家財道具
- その他,差押えを禁止されている財産
○個人民事再生には、可処分所得(手取り収入)というものがあります。
個人民事再生では、可処分所得が2年以上あり、最低の弁済基準・生産価値の総額以上が返済総額になります。
その返済総額から返済額を3年~5年で分割返済します。
可処分所得の計算方法は、過去2年間の総収入の合計から各税などを引いて、それを2で割った金額を出した額が基準となります。
先程、2で割ったものの金額から家族1年分の最低必要な生活費を引いた額が、可処分所得になります。
(可処分所得に関する専用シートがありますので、簡単に計算することができます。)
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4.個人民事再生すると信用情報が傷つきブラックリストに載る?
個人民事再生も、自己破産と同じように、信用情報機関により「事故情報」として5年から7年は登録されます。
クレジットなどの「カード」「ローン」の申請ができません。
これは「自己破産」「任意整理」「特定調停」と同じですが、それぞれの信用情報の登録される期間が異なりますので、その期間はローンなどを申請したとしても審査が通りません。
携帯電話の分割購入もできませんので、一括での購入になります。
5.個人民事再生をした場合、官報に載るタイミングや期間について
個人民事再生を依頼して裁判所が決定した時、3回ほどのタイミングで官報に載ることになります。
- 個人民事再生の手続きを決定開始した時
- 再生計画案を提出した時
- 再生計画認可・不認可決定が出た時
などです。
官報で掲載される個人情報としては、氏名・住所なども掲載されます。
金融関係者の中で闇金もいるので、この官報をもとにしてキャッシングの勧誘チラシなどが、自宅へ送られてくるようですが、必ず無視してください。
どこで、住所がばれているかというと官報からの出所が一番多いといわれていますので、
放っておくと郵送も止まります。
(もし気になることがあれば、すぐに弁護士へ連絡してください)
6.個人民事再生をすると保証人にどんな迷惑がかかる?
個人民事再生をすると、本人は債務を減額できるのですが、連帯保証人にも債務が残ることになり債権者から一括で請求されることになります。
連帯保証責任としての支払い義務が消えていないからです。
本人だけなら良い話ですが、連帯保証人がいる場合はそちらにも請求がくるということになりますので、保証人と話し合う必要が出てきます。
保証人が納得しない場合は、個人民事再生をしない方が良いでしょう。
7.個人民事再生の直前に借り入れるのはあり?
個人民事再生をすることが知っていて行う行為は、もちろん不認可になるでしょうし、
債権者側から詐欺として訴えられる場合もあるでしょう。
認識がなかったとしても、金額が少額の場合などでしょう。
しかし直前であるからと言って、認められないということは少ないでしょうが、個人民事再生を依頼しようとしているのですから、そのような行為は絶対しないことです。
8.個人民事再生中の貯金はどうなる?預金相殺が行われる?
個人民事再生をする前に、財産調査をされますので、その時の貯金が一定以上ある場合は、借金に充当されることになります。
個人民事再生中に貯金がある場合は、認められている預金額になるので、そのまま置いておけるものですので問題はありませんが、申告していない違反したものは届けてください。
申告していなければ届けてから判断されることになります。
9.個人民事再生する時、再生計画案や再生計画の方法は?
再生の計画案とは、個人民事再生により減額した金額を、各債権者へいくら返済していくかを計画した書面になります。
最終的に算出した金額より原則3年以内で各債権者へ返済する内容を再生計画案に書いたうえ、裁判所に提出するものですので、裁判所が認めなければ再生案通りの支払いができないことになりますので、しっかりと再生案を作成することが大切になります。
再生計画案が認められると、約1か月後に認定が確定されて確定月の翌月の末から、
再生計画案に基づいた返済をスタートさせることになります。
○再生計画の案が認められなかった場合
債権者の中で過半数以上の人が不認可をした場合や、債権金額の2分の1以上を反対した場合、民事再生は不認可となり終了します。
(減額などがありません)
再度個人民事再生を出すか、自己破産はどの手続きへ変更するか判断することになります。
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10.個人民事再生には安定収入が必要不可欠?転職はできない?
個人民事再生は、安定した収入がないと申請することができません。
債務整理のほとんどは、収入がないと整理できないものばかりです。
個人民事再生は、返済計画書を裁判所に提出しなければいけません。
その時の返済計画が認められない場合は、個人民事再生ができないので、収入が不安定な状態になると認められない場合もありますが、仮に認められたとしても支払いができなくなると、その時点で問題になってきます。
収入がない時は、自己破産の債務整理をすることになります。
転職は可能ですが、月に1度の支払いは必ず引き落としができるようにしておかなければなりませんし、転職する場合は弁護士に連絡を入れておきましょう。
支払い計画通りの収入があるか、勤め先などの詳細は伝えておきましょう。
11.うつ病でも個人再生をすることはできる?
個人民事再生をする場合に、うつ病などいつ悪化するかわからない病気がある場合は、個人民事再生はするべきではないでしょう。
一番考えられるのは、支払いができなくなる恐れがある場合が最も考えられるからです。
うつ病でも、色々な症状がありますので一概に言えないですが、発症した時期や期間なども問題になるでしょう。
うつ病が悪化せずに安定した収入であればいいですが、「もしも悪化した時」を考えると、返済計画書通りに進まなくなるでしょうから、その時にうつ病の悪化につながる不安に陥ることも出てくるかもしれませんからね。
他の方法を考えた方が良いでしょうし、お勧めはしませんね。
そして、うつ病の症状がどれくらいなのか知っておく必要もありそうですから、収入がなくなった時のことも十分に考えなくてはなりません。
12.個人民事再生中に自己破産をすることは可能か?
個人民事再生中に支払えなくなった場合、自己破産に切り替えなければ生活に支障が出る場合、自己破産をすることは可能です。
個人民事再生中に支払い計画書通りの収入がなくなり途切れてしまうと、支払ができなくなる為、個人民事再生は無効になります。
但し、会社が業務不振により減額された給与が発生した場合などは、やむを得ない理由として、返済期間の延長を出すことで認められれば延長することができます。
そうなると、債権者は一括請求をしてくることになります。
一括請求されても収入がないので支払い不能に陥っているので破産手続きに移行するしか手段がなくなってしまいます。
手続きをし直すことになりますが、破産手続きをしてこの事態を回避することになります。
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13.個人民事再生は弁護士に依頼をしたほうがいい?
個人民事再生などの債務整理は、すべて弁護士に依頼する方がベストな方法です。
弁護士が申し立てすることで、書類のやり取りが円滑に進みますし、裁判所の信頼は深いです。
個人民事再生や自己破産などは半年ほどの期間がかかりますので、素人である本人がするには難がありすぎですから弁護士に依頼する方が良いでしょう。
弁護士の自由報酬制で依頼金額(着手金)などに違いがあります。
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